常念山脈(長野) 前常念岳(2661.9m)、常念岳(2857m) 2022年10月29日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 3:28 三股駐車場−−3:42 三股−−5:19 2170m肩−−6:30 前常念岳−−7:13 常念岳 8:46−−9:13 前常念岳−−9:50 2170m肩−−10:39 三股−−10:47 三股駐車場

場所長野県安曇野市/松本市
年月日2022年10月29日 日帰り
天候快晴
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場ゲート手前の三股に車場場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば文句なしの大展望
GPSトラックログ
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コメント弱い冬型で日本海側に近いほど天候回復が遅い予報だったので三股から常念岳へ。気温は-4℃、西寄りの風が強いとの予報で万全の防寒対策で臨んだが風が弱く快適だった。積雪は日陰に僅かであったが多数の登山者に踏まれて登山道は滑りやすく、下山時にコケてしまった。槍穂の積雪も僅かでもう11月になるとは思えない様子であった。雲海の高さが高く奥日光の山々は見えなかった


常念岳から見た穂高連峰〜槍ヶ岳。もう11月間近だというのに白さがほとんど見られない


早朝の三股駐車場。続々と車が上がってきた 三股から常念岳方面へ
標高2200m付近で初めての積雪 5時45分過ぎにライト不要な明るさに
森林限界境界の梯子 森林限界から東の空。夏のような背の高い雲海
蝶ヶ岳の稜線には雪が残る 穂高のモルゲンロート
斜面に日が当たりだす 北穂高小屋のガラスに朝日が反射
振り返る。樹林帯は雲海の中へ没す 前常念避難小屋
常念岳に雪は見えない 登山道が北斜面を巻く部分だけ雪が残る。アイゼン不要
大天井岳方面も雪は見えない 常念小屋にはテントが1つだけ
常念小屋巻道は冬季通行止めになっていた 日影はまだ霜で凍り付いたまま
大パーティーが登っているのが見えた 北斜面だけ僅かに雪が残る
常念岳山頂 蝶ヶ岳へと向かうパーティー
常念岳から見た360度パノラマ写真(クリックで拡大)。雲海の高さが高く、北信の山々、志賀高原、四阿山、浅間山、奥日光の山々は雲海の下
常念岳から見た富士山と南アルプス(クリックで拡大)
常念岳から見た大天井岳、燕岳。立山、後立山は雪雲の中で見えない
常念岳から見た木曾御嶽、乗鞍岳 常念岳から見た白山
常念岳から見た穂高岳山荘 常念岳から見た槍ヶ岳山荘
常念岳から見た槍の穂先。2名いる 常念岳から見た大天井岳と大天荘。山頂に1名
常念岳から見た燕岳と燕山荘 常念岳から見た蝶ヶ岳
前常念岳に2名の人影 常念岳から見た浅間山
下山開始。凍ってはいないが踏み固められた雪は滑りやすい 三股方面に入る
雲海が徐々に上がってきた 山頂を振り返る
前常念岳 計10人程度とすれ違った
間もなく森林限界を割る 2170m肩は雲海の中で寒いくらい
倒木その1 倒木その2
倒木その3 三股到着
林道終点 三股駐車場。一部の路側まで駐車してあった


 もう11月も間近であり十分に気温が下がったので未踏の藪山にでも出かけたいところだが、いかんせん未踏の山は皆遠いエリアしか残っておらず、昨今のガソリン高ではおいそれとは遠出できない。仕方なしに積雪が多くなるまでは近場の北アルプスを攻め続けることにして、今回は常念岳へ向かうことにした。今週末は弱い冬型で日本海側に近いほど天候が悪く、後立山よりも常念山脈の方が確実に天気がいいと読んだからだ。今週前半には常念岳でもそれなりの降雪があり真っ白になったが、その後は好天が続いて後立山の白さもかなり薄くなったので、常念岳なら日当たりがある場所の雪はもう消えてしまっただろう。ということでルートは三股。これなら南向きから東向きの尾根を登るので雪はほぼ無いだろう。

 天気予報では標高3000mの気温は-4℃程度で風速は10m/s弱の西風と出ていた。やや風が強く体感温度はかなり低下すると予想されたので、今シーズン初めてダウンジャケットを持つことにした。防水機能を失った登山靴で濡れた雪があると浸水するので、ワックスで念入りに防水処理した。手袋は防寒テムレスに使い捨てカイロで大丈夫だろう。

 金曜夜の三股駐車場の入りは1/4程度。この寒い時期にこれだけ既に入山して宿泊しているのだからちょっと驚き。例年だとこの時期にアルプスに入ることがないので例年の人出は不明である。金曜日も天気が良く常念山脈は土曜、日曜とも好天なので、明日はもっと車が上がってくるだろう。その通りで夜中に続々と車がやってきた。

 早朝に山頂に上がっても寒いだけなので山頂到着は午前7時〜8時くらいを狙って午前3時半に出発。頭上は星空であり予報より良く、天候の崩れの心配はなさそうだ。三股では風は感じられなかった。気温はこの時期としては高めで長袖シャツとウィンドブレーカを着てちょうどいいくらいだった。

 林道終点には3台の車あり。蝶ヶ岳ヒュッテの営業は来週までなので車もそこまでであろう。三股から登りにかかるとすぐに体が温まって半袖に変身。ただし耳が冷たいので毛糸の帽子を被ったまま。ジグザグに高度を上げていくと稀に瞬間的にだが前方に光が。最初は見間違いかと思ったが、途中でその光の主、休憩中の単独男性をを追い越した。こちらは半袖なのにあちらは防寒用にゴアまで着込んでいて服装が対照的であった。もちろん私の方が常識外れなのだが(笑)

 予想通り樹林帯には雪は全く見られないし地面の凍結も無かった。2170m肩で傾斜が緩んで水平な尾根を進むと樹林の上空が開けた場所では僅かながら雪が残っていて、その上にはたくさんの足跡が。先日の積雪以降にかなりの人数が入っていることが分かった。まさかラッセルするほどの積雪は無いだろうからトレースがあろうが無かろうが関係ないだろう。

 森林限界を超える頃にようやくライト不要な明るさに。梯子を登って森林限界を超えると東の空は真夏に見られるような背の高い雲海に覆われていた。今日は奥日光の山々は見られないかな。でも上空は雲一つない快晴である。森林限界を超えてもルートは概ね南斜面を上がっていくのでまだ雪は皆無のままであった。この付近は花崗岩を乗り越える場所もあり、岩の上が凍っていないのは助かる。南斜面を登っている最中に日の出を迎えて穂高連峰がモルゲンロートに染まる。穂高は体育の日の連休に初冠雪したが、今の白さはその時より劣っているように見えた。もう11月に入るというのに穂高にほとんど雪が無いとは。森林限界を超えた穂高よりも樹林帯で日影がある常念岳〜蝶ヶ岳に続く稜線の東斜面の方が雪が残っているように見えた。

 避難小屋を通過して前常念岳に到着。ここから見える常念岳山頂やそこに続く稜線には雪は全く見られない。念のために軽アイゼンを持ってきたが出番は無さそうだ。花崗岩に雪が無いのは滑らないので大助かりだ。登山道が稜線の北側に移る区間だけ僅かに積雪が残っているが、その深さは1,2cm程度で登山靴への雪の侵入を防止するスパッツは不要だった。風は思ったよりは強くはないが、さすがに半袖のままでは寒くなったので長袖シャツにウィンドブレーカを着込んでネックウォーマー+フェイスマスクも着用したが、これは過剰で暑くなったのでフェイスマスクは脱いだ。

 常念小屋に下る巻道分岐入口には冬季通行止めのロープが張ってあった。歩けないほど危険があるとは思えないが、半端な積雪だと慣れない人だと厄介かもしれないので、仕方のない判断だろう。ここからではルート上に積雪があるのかは分からない。ここから見える常念小屋付近にも積雪は見当たらず、テント場には1張のテントあり。雪は無くてもこの時期の幕営はかなり寒いだろう。

 まだ日が低くてハイマツの日陰では真っ白に霜で凍り付いた草木が目立つようになる。雪は消えても霜は降りるからなぁ。霜があるということはこの付近では風はずっと弱かったということになり、思ったよりは体感温度は下がらずに済みそうだ。

 縦走路が近付くと常念小屋方面から上がってきた登山者の姿が見えるようになり、大ザックを背負ったパーティーが上がっていった。当然ながら蝶ヶ岳方面へと向かうのだろう。このパーティーは私が山頂到着時に入れ替わるように蝶ヶ岳へと向かっていった。

 大きな岩を回り込んで稜線直上から北斜面に入ると僅かに積雪が現れる。縦走路に合流すると多数に踏まれた雪に覆われるが、日中でも雪は解けないようでガチガチの氷に変わっている場所は無くサラサラの雪のままであり、アイゼンは不要であった。ただし全く滑らないわけではないので要注意。積雪は数cm程度でトレースを外しても靴に雪が入る心配はない。おそらく常念乗越から山頂まで北斜面が続くので同じような状況が続くのであろう。

 最後の登りで常念岳山頂に到着。大パーティーが出発していったので山頂は無人に。東の雲海が高くて標高2500mを越える浅間山でさえ見えないので四阿山や志賀高原の山々、北信の山々も雲海の下に沈んでいた。一方、少し南にずれた八ヶ岳と富士山、南アルプスと深南部ははっきりと見えていて、東ほど雲海の高さは高くないようだ。安曇野〜木曾より西側は雲海は無く今日は恵那山〜阿寺山地はすっきりと見えていた。北に目を向けると予報通り立山は後立山方面は雲に覆われて見えているのは燕岳までであり、裏銀座方面も雲がかかっていた。常念岳の選択は正解であった。穂高から槍にかけては全く雲はかかっていなかった。

 今回は冬装備で夏より荷物が重かった影響か、前半で調子に乗ってスピードを上げた影響か、左太ももに痛みが出てしまった。それなりの疲労感もあり風は予想外に弱くて日差しもあって気持ちよく、山頂でのんびり休憩。小屋はまだ営業しているとはいえ、さすがに真夏と違って登ってくる登山者数はかなり少なかった。休憩した1時間半ほどの間で10人ちょっと程度だったと思う。昨日入山したという市川や横浜に住む男性としばし歓談。

 今回は雷鳥の姿は見えなかったが山頂で雄雷鳥の鳴き声は聞くことができた。おそらくもう半分くらい冬羽に生え変わっているのだろう。

 安曇野の雲海は秋なら日が高くなると徐々に消えていくのだが、今日は夏山シーズンのように逆に雲が上がってきて蝶ヶ岳はほぼ雲海に覆われてしまった。でも距離が遠い場所では逆に雲は低くなったようで、これまで見えなかった浅間山のてっぺん付近が姿を現した。夏であればこれからさらにガスが上がって稜線はガスに覆われてしまうのだが、この時期に同じことが起こるのか分からない。なお、帰宅後にネットで常念岳の記録を検索してこの日に登った記録を調べたらガスは上がってこなかったようだ。

 十分に休憩して下山開始。下り始めてすぐに雪で足を滑らせて右の脛を岩に強打して強烈な痛みが。さすがに長ズボンで歩いているので肌が直接岩に当たったわけではないが、それでも派手な擦り傷ができていた。でもこれはまだマシな怪我で、下りの途中で左足が滑ってつま先から着地した際に左足の親指の爪を痛めてしまった。主要因は昨日の靴のメンテで靴紐を緩めてワックスを塗りこんだ際に靴紐の締めが不十分だったこと。登りでは踵側に体重がかかるので靴紐の緩みの影響はないが、下りではつま先方向に体重がかかるので紐の締め方は重要であるのを忘れていた。おかげで左足親指の爪は血豆で真っ黒になってしまった。そのうちに爪が死んで剥がれるかも。爪が完全に生え変わるまでかなり時間を要しそうだが、これからはアルプスから低山へ移行して歩行時間も短くなるので、おそらく大きな影響はないだろう。

 三股コースは登ってくる人とポツリポツリとすれ違う。森林限界を越えた地点から避難小屋までの花崗岩の急な登りが最も人が多くて計10人くらいいただろうか。日が高くなり半袖で登っている人も。という私もこの時には半袖に変身していたが。

 樹林帯に入ると雲海の層に突入。明らかに気温が低下して半袖では寒いくらいになった。風が弱く夜の天気が良かったので放射冷却で冷えた空気が盆地に溜まって、上空よりも地表に近い場所の方が温度が低い「逆転層」ができたのだろう。雲海の原因はこれだったのか。指先が冷えるほどになったので手袋を装着した。樹林帯ですれ違ったのは3人であった。

 三股に到着して林道終点へ。前回は蝶ヶ岳から下山したパーティーに遭遇したが今回は無人。林道歩きでもすれ違う人は無し。林道は雲海の下だが雲海の厚さは薄いようで太陽の輪郭が見えていた。

 三股駐車場は満車でゲート付近の路側には数台の路側駐車が見られた。今回はほとんど汗をかかなかったので着替える必要もなく、上着だけ着込んで車を走らせた。

 

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